清少納言 「男って やっぱり変わっているわ!」

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ヤマユリ



 

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ウバユリ

 

  

 というものは、わたしから見ると、めちゃめちゃ不可解な感情
を持っている生き物だわ。だって、とてもきれいな女性を捨てて、
どこがいいのかと思うような女性を妻にしているのも、わけが分
らないし。

宮中に親しく出入りしている男や、名門の子弟などは、たくさん
いる女性の中でも特にすぐれた人を選んで愛しなさるのだろうけ
ど。中にはとても手の届かないような高い身分の女性であっても、
すばらしいと思う女性を命をかけて恋い慕うということもあるだ
ろうし。

人が大切にしている娘や、まだ見たことのない女性のことも、す
ばらしいと評判の女性をこそ、どうかしてわが物にしたいと男は
思うみたい。そのくせ一方では、わたしが見ても感じ悪いと思う
女性を愛するのは、いったいどういうこと?

 容貌がとてもきれいで、気立てもよい女性が、字も上手に書き、
歌も感情豊かに詠んでよこしたりするのに、男は返事はこざかし
くするのに、そのくせ女性のところへは寄りつかず、可憐な様子
で嘆く女性を見捨てて他の女のところへ行ったりなどするのは、
あきれかえって、ひとごとながら腹が立って…

こんなこと、はた目にも不愉快な感じがするのに、当の男は自分
のこととなると、少しも相手への思いやりなど気がつかないんだ
から!


枕草子』「男こそ、なほいとありがたく」おおよその意 ^^;