足立美術館の庭は日本一
足立美術館の庭は世界に名だたる美しい庭園という。アメリカの日本
庭園専門誌で17年連続日本一、フランスのミシュラン旅行ガイドブッ
クでは最高評価の「三つ星」(わざわざ旅行する価値がある)とまで
評価されているという。
それなら一度は見ておこうと思いたち、嫁さんのコンパクトカメラを
手にして向ったのは大分前のこと。自分にしては気に入った写真も何
枚か撮れた。そんな写真を見ていただきたいし、ちょっとだけ美術館
を紹介してみたいと、今回投稿に至った次第である。写真を見直しあ
らためて思い至ることは、絵のような美しさの庭であったということ。
ムソルグスキーのピアノ組曲に『展覧会の絵』というものがある。
その曲を頭に思い描きながら足立美術館の庭を見て歩いたならどんな
ものであろう。そんな気持ちで写真を編集してみたのだが、結果はど
うであろうか。少々こじつけが酷いような気もするが、その点はご容
赦を。
プロムナード
茶室寿粒庵への道。
寿粒庵前庭
石庭越しに見る回廊
回廊より望む枯山水庭
石橋
枯山水庭
庭の手入れ
広大な庭園には枯葉一枚も落ちてはいない。庭の手入れは専門の
植木職人の他に全従業員が開館前に行っている、とTV番組で見た
ことがある。樹木は時が経てば大きく育つのは当然のこと。いつ
までも同じ景色を保つよう、木が大きくなればよく似た形の小さ
な木と植替えるのだというから想像以上の気遣い、努力の上に成
立っている庭なのである。
中央に配置されている三つの立石は峻厳な山をあらわし、そこから
流れ落ちる滝水はやがて、手前に広がる白砂へと流れ込む。大自然
がもつ深遠な風趣を枯山水という伝統的な手法により表現している
という。
松が前景にある景色は喫茶室「翆」からしか望めない。時間に余裕が
あるのなら、是非とも利用することをおすすめしたい(リッチな気分
を味わえることを請合います)。
池庭
奥に見える建物は煎茶室「清風」。
白砂青松庭
この庭は、横山大観の名作「白沙青松」をモチーフにし大観の
絵画世界を表現したものだという。
白砂青松庭越しに「亀鶴の滝」(山肌の右)を望む。借景の山が
いつまでも変わらぬ景色であるよう、美術館の所有になったよう
である。
額縁庭園
足立美術館の成り立ち
足立美術館の絵画コレクションは、当地安来出身の足立全康氏の
情熱でもって横山大観の日本画を中心に集められ構成されている。
氏の大観作品収集の執念は尋常ではない。大観展で見た『紅葉』
に「言葉も出ないほどの感動を受け」、苦労の末に二年がかりで
沢山の大観作品を購入したという。
その『紅葉』を本館二階の「横山大観特別展示室」で拝見したが、
さすがに六曲一双の屏風絵は大迫力であった。
大作もよろしいが、わたしは大観(無我)、栖鳳(炉辺)、春草
(猫梅)、そして関雪(猿)などの小品に魅かれた。
帰りには、ミュージアムショップが併設されているので気に入っ
た絵の葉書や工芸品を買うこともできる。