雨後の雲の美しさは山にてこそ見るべけれ。低き山に居たらんにはなお甲斐なかるべし。名ある山々をも眼の前脚の下に見るほどの山にありて、夏の日の夕など、風少しある時、渓に望みて遠近（おちこち）の雲の往来（ゆきき）を観る、いと興あり。……
※幸田露伴『雲のいろいろ』より引用
黒部川源頭部を探索したのは三十余年も前のことだ。当時は現地の情報は少なかったが、戦後の登山ブームの名残りもあって、結構山小屋がたくさんあったので泊まるのには苦労はなかった。雨漏りだらけの小屋もあったが、今では建替えられたようだ。また来るよ、と言ってから三十余年が経った。
カメラ：ブロニカGS-1
