静かな祇園祭
日本の夏の祭りを代表するものといえば、真っ先に京都の祇園祭が挙げられます。
ですが今年はいつもの年と様子がちがいます。山鉾巡行がありません。そもそも
すべての山鉾建てがないのです。原因はアレです、新型コロナウイルス対策なの
です。
疫病退散の祈りで始まった祇園祭ですが、皮肉なことに「疫病」にやられちゃい
ました。
京都を訪れる方にはあまり知られていませんが、祇園祭は千年以上の伝統を有す
る八坂神社の祭礼です。昔 都に疫病が流行したとき、都の西にある神泉苑に六十
六本の鉾を立てて祇園の神を迎えて祭り、祇園社の神輿を神泉苑に送って厄災の
除去を祈ったことに由来していると言われています。
祭は、何と一ヶ月間にわたり様々な神事、行事があるのです。
今日は昔撮影したモノクローム写真(カラーフィルムを買うお金が無かった)を
見ていただきたいのです(本来なら、今日が鉾建ての日なのです)。
新型コロナウイルス退散を祈って
懸装品は室町筋の寄付で購入し、中には安土桃山時代に輸入されたものもある。
今では西陣の織屋さんが複製したもの、あるいは新調したものを掛けている。
鉾は楔と藁縄を用いて組み立てられている。巡行の際、揺れに強いという。
それにしても美しい “縄がらみ“ の意匠である。
飛騨白川郷の合掌造りと同様の構造なので、力学的にも合理性のある構造な
のだ。
車輪を嵌めるのは車方。巡行の際、鉾の進む先を決めるのは車方なのである。
何せ車軸と車の間にはアソビがないので巡行は大変なのだ。それにしてもアソビ
やステアリングを発明した者はノーベル賞ものである。
軸の周りには様々な意匠が施され、見ていて飽きない。
木製の車輪の重量は1トンある。
長刀鉾だけが真の稚児を乗せ、他の鉾は人形を乗せている。
デジカメ初期の頃の写真。動いている物のピント合わせが難しかった。