2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

秋の夜は (別れても…)

昔ある男がいた。どのような事情があったのであろうか、その男が女の所に逢いに行かなくなってしまった。女には後にまた別の男ができていたけれども、前の男とは子供がいる間がらだったので、とくに愛情深く親密だということではないけれども時々たよりをし…

洛北二ノ瀬と「伊勢物語」を結びつけるって無茶ぶり?

小野小町が晩年を過ごしたと伝わる市原の里を後にして、次に向った先は貴船の少し手前にある二ノ瀬の里である。ここは“悲運の親王”として名高い(?)文徳天皇第一皇子の惟喬親王を祀っている神社のあるところなのだ。いつもなら叡山電鉄に乗り、二ノ瀬駅で…

小野小町の最期の地 補陀洛寺を訪ねてみた

京都駅から北へ十キロ余り行くと貴船や鞍馬のちょっと手前に“市原野”という集落がある。かつては山間の農村地帯であったが、いつの間にか山は削られ、田んぼや畑は工場や住宅地と化してしまった。平安の昔にはこの地は鳥辺野や化野、紫野などと同様に 人の亡…

秋雨に濡れそほつ花

芙蓉と百日紅は夏の花とばかり思いこんでいた。夏の強い日差しに似合うと決めこんでいた。しかし どうしてどうして、秋の雨に悩める芙蓉は、春の海棠にも劣らず「まことに花の美しくあはれなる、これに越えたるはあらじ」と思う。 萩には崩れた築地が似合う …