春曙抄

物の怪(コロナウイルス)退散? 祇園祭を迎えて

・ ❝ 松の木立が高く聳えている邸の、東や南の格子をすべて上げ てあるので、涼しそうな建物の中の様子が簾越しに見える。そ の母屋に、四尺の几帳を立てて、その前に円座を置き、そこに 四十歳位の大変すっきりした感じの僧が、墨染めの衣や薄く仕 立てた袈…

清少納言にかかれば 病にも風情がある?

・ 『枕草子』182 病は ❝ 十八、九歳ばかりの女で、髪がとてもきちんと整って背丈ほどの 長さがあり、裾もふっさりとしていて、それにとても肉づきよく、 非常に色白で、顔は愛くるしくて、美人だと見える人が、歯をひど く病んで、額髪もぐっしょりと涙で泣…

清少納言の考える病とは? 祇園祭を迎えて ひと言

・ 『枕草子』182 病は❝ 病気は 胸。物の怪。脚の気。さらには、ただなんということ もないが、食欲のない症状。❞ この段では清少納言の目についた病の種類を述べている。 【 物の怪 】とは、人にとりついて悩まし、病気や死などをもた らす悪霊、他人の怨恨…

枕草子に見る 流行病の治療(すさまじきもの)

・ ❝験者が物の怪を調伏すると言って、大変自信ありそうに、独鈷や数珠などを持たせ、ふりしぼるような声で経や陀羅尼を読んでいても、全然調伏できそうにもなく、憑坐(よりまし)に護法童子も乗り移ってくれないので、家族の男も女も、病人の周囲に集まっ…

平安朝サロンの おかしな面々 清少納言と男と女

・ ぶざまなもの 「人の妻が確証もないのに嫉妬し、家を出て身を隠した折り、夫は必ず自分を探し 大騒ぎするであろうと思ったが、そうでもなく、夫はゆったりと構えた態度で (妻を探し出しもせず、かといって妻は)そうばかり家を空けてもいられず、自 分か…

枕草子に見る 流行病の治療

京都御所 承明門 ❝いとしく思う子を法師にしたのは、たいそう気の毒なことだ。 (世間の人が、法師というものを)ほんの木の端かなにかの ように、情けを解さぬつまらぬものと思っているのは、本当 にかわいそうだ。精進物の、たいそう粗末な物を食べ、寝る …

清少納言 「男って やっぱり変わっているわ!」

ヤマユリ ウバユリ 男というものは、わたしから見ると、めちゃめちゃ不可解な感情を持っている生き物だわ。だって、とてもきれいな女性を捨てて、どこがいいのかと思うような女性を妻にしているのも、わけが分らないし。 宮中に親しく出入りしている男や、名…

清少納言 「偲びあうところは?」

“人目をしのんで男女が逢っている所にあっては、夏が趣がある。ひどく短い夏の夜がもう明けてしまうので、一晩中まったく眠らないで朝を迎えてしまう。そのまま、どこもかしこも、昼間と同じようにようにあけ放したままにしてあるので、涼しくすっかりあたり…

「枕草子」 冬はつとめて。雪の降りたるは、言ふべきにもあらず

冬は早朝がいい! 雪の降っているのはあらためて言うまでもないわ。 雪が真っ白に降りている景色も、そうでなくっても、ひどく寒い朝、 炭火などを急いでおこして、ほうぼうの部屋に運んでいくのも、 冬の日の朝の景にふさわしいわね。 そして、ひるになって…

「枕草子」 山里は 雪降り積みて 道もなし

京都花背の里 京都御苑 この冬は、大寒を過ぎても京都御苑には積雪がない。比叡山 にはニ三度冠雪が見られたのだけれど、京都市内では風花さ え見ていない。寒がりの私でも風花が待ち遠しい。 山里は 雪降り積みて 道もなし 今日来む人を あはれとは見む …平…

京都御所に降る雪 「少納言よ、香炉峰の雪いかならん」

雪がこんこんと降り積もっている。あまりに寒いので女房たちは御簾(みす)を上げずに角火鉢のまわりに集まりお喋りをしている。雪景色を見るなど考えたくもないのだろう。そこに鶴の一声、「少納言よ、香炉峰の雪いかならん?」『枕草子』や漢詩の好きな方…

春は曙。 やうやう白くなりゆく山ぎは、すこし明りて…

一条天皇の后、定子さまに仕えていた女房、清少納言は宿直(とのい)の朝を迎え皇后宮常御殿(こうごうぐうつねごてん)から東山の方角をじっと眺めていたのだろう。「春はあけぼの!」とは歯切れがよい。何につけ歯切れのよさが、清少納言の見事なところ。…

「枕草子」 木の花は、濃きも薄きも、紅梅

撮影地:京都御苑梅林 京都御苑 このたび「はてなブログ」に写真を中心としたブログを開設しました。初めての記事のタイトルは、清少納言『枕草子』にある一節です。つねづね清少納言のような眼差しをもって写真を撮りたいと思っているので、このようなタイ…