2023-01-01から1年間の記事一覧

弥次さん北さん - 京の古着屋に出まかせを語り、安値で着物を買うの巻

【北八】「思えば…つまらねエことになった。どうぞ古着屋でも見つけたら、どんなでも綿入れが一枚欲しいが、弥次さん、いい知恵はねエかの?」 【弥次】「なに、買わずとも良いにしたがいい。江戸っ子の抜け参りに、裸になって帰(けえる)るは、当たり前ェ…

弥次郎兵衛喜多八 五条新地で裸にされ古着屋を探すの巻(弥次喜多道中の作者が都の名物と京ことばに詳しいのは何故だろう)

花の春、紅葉の秋は、東西南北に名だたる勝景の地ありて、「賀茂川」 銘酒の樽とともに、人の心を奪い、京女、商人のよき衣 着たるは、他国に異にして、京の着倒れの名は、ますます西陣の織元より出、染め色の花やぎたるは、堀川の水に清く、釜もとの白粉、…

京の男衆の遊ぶ所 ー 五条新地で あんたこそケチだと言い合い 、弥次郎喜多八そこで遭遇した災難とは ?

東本願寺・渉成園 [ 弥次郎兵衛喜多八、清水寺参詣を終え三条の宿へ ]【北八】「モシ ちとものをお尋ね申したい。これから三条へはどうまいりやすね?」[ と、北八が問うに この女中、御所がた(内裏女中)と見えて北八の薄汚い旅姿を一瞥し… ]【内裏の女中…

江戸っ子の湯治と江戸っ子の習性を『東海道中膝栗毛』から考察する?

江戸ッ子の湯治は夢でしかない?半年ほど前に「江戸ッ子の湯治」という文章を読んだ。作者は江戸の文化や風俗にくわしい三田村鳶魚(えんぎょ)氏である。江戸に詳しい作家先生方には、他には穎原退蔵氏、森銑三氏、饗庭篁村氏、淡島寒月氏、そしてわたしの…

雨の日 "なからぎの森" を歩く

毎日毎日暑い日がつづく。雨の植物園でも歩けば少しは涼しいかな、と考えて歩いては見たけれど、ちっとも涼しくはなかった。 アオサギも散歩してるし 素敵な女性がベンチに… いかんいかん また妄想が… タイタンビカス ずぶ濡れの散歩であった。 youtu.be

『東海道中膝栗毛』 - 京名物 辻子の陰で大根と小便のとっかえっこ? (今回も弥次郎兵衛北八は下品ですw)

前回のつづき[ かくてその日も、はや七ッ(午後四時)頃とおぼしければ、いそぎ三条に宿をとらんと、道をはやめ行く。すると向うに小便タゴ(桶)と大根を荷いたる男が…… ]【肥取りの男】「大根小便しょっしょっ。クソはいらん…。」と節をつけて男が歌って歩…

永井荷風にもあった切ない青春の一ページと…悲惨な最期

鳴しきる虫の聲あまりに急なれば、 何とて鳴くや 庭のこうろぎ夜もすがら、 雨ふりそへば猶更に あかつきかけて鳴きしきる。 何とて鳴くや こうろぎと問へど答へず、 夜のみならで、 秋ふけゆけば昼も鳴く。 庭のみならで臺どころ、 湯どのすみにも来ては鳴…

『東海道中膝栗毛』 ー 清水の舞台からとんだ話と、坊さんにとんだ目に遭った話

[ 弥次郎北八、三十三間堂を北へさしてゆくに、往来ことに賑わしく、げにも都の風俗は、男女ともにどことなく、柔和温順にして馬子荷歩持(まごにかちもち)までも、洗濯布子の糊こわきを、折り目高にきなして、"あのおしやんすことわいな"(何をおっしゃい…

「東海道中膝栗毛」 ー 豊太閤の造営した方広寺大仏殿で弥次郎 柱の穴くぐりでトンだ目に遭うの巻

京の大仏殿の柱の穴くぐりの大きさは、大仏の鼻の穴とおんなじ?[ 奈良の東大寺大仏にならい、豊臣秀吉公が造営した方広寺大仏殿、本尊は廬舎那仏(るしゃなぶつ)の坐像身の丈六丈三尺、堂は西向きにして東西二十七間、南北は四十五間あり。弥次郎北八ここ…

「東海道中膝栗毛」 ー 大坂へ向ったはずが、どういう訳か伏見港に逆戻りし 伏見稲荷でウバ甘酒を飲むの巻

前回のストーリーの最後は、[ かくて船は、枚方を過ぎたころ、雨催いの空、にわかに暗くなり雨が降り出した。見る見る間に大雨となり、苫も役に立たず、着物を濡らす。乗合船は上を下へと大騒ぎ。大雨と強風にたたられ木の葉のように淀川の大波に翻弄される…

いまは昔、貧しき女が清水の観音に参籠し運を得た話

今は昔、清少納言が『枕草子』を著したずっと前のことだ。京に住んでいた若い女が、貧しい暮らしでいっこうに生活は楽にならなかったので、清水の観音さまに願をかけていたが、少しもききめがなかった。そこである日、いつものようにお籠りして、観音さまに…

俵屋宗達「風神雷神図屛風」のもとあった寺 臨済宗建仁寺派 - 正覚山妙光寺を訪ね寺院建築の粋を知る

その一風変わった水墨画家との出会いは、観光地としての京都からはちょっと外れた、昭和感たっぷりの西陣の片隅にあるような、そんな環境のなかではモダンなしつらえの喫茶店だった。いつものように散歩をかねたスナップ写真を撮り終えて休憩に立寄ったとき…

『東海道中膝栗毛』ー お伊勢参りのあと京の伏見にやってきた弥次郎・北八 くらわんか船で大坂へ向うが…の巻

弥二さん喜多さんの銅像(三条大橋西詰) 「道中膝栗毛」洛中偏東(あずま)の都、神田八丁堀に住む弥次郎兵衛、北八という二人連れのなまけもの、伊勢神宮を参拝したのち、大和路をまわり、青丹(あおに)よし奈良街道を経て、山城の宇治にかかり、ここより…

漱石『猫』の登場人物のモデルとなった寺田寅彦の珍研究「椿の花 ー 空気中を落下する特異な物体の運動」とは

先日久しぶりに漱石の『吾輩は猫である』を読んだ。実に五十余年ぶりである。一度目は、たしか高校生の頃に夏休みの宿題で感想文を書くために読んだような覚えがある。今回読んで感じたのは、こんなに面白い小説だったかしら、ということだった。「猫」はア…

「日記文学」の面白さ ー 永井荷風『断腸亭日乗』を中心として

日記の面白さとは日記文学といえば古いものでは『土佐日記』だろうか。作者の紀貫之は女になりすまし土佐日記というブログ(!)を全文ひらかなで書いた。名作と言われる土佐日記を読んでいると、紀貫之はときどき馬脚(男)を露している(それも愛嬌)。い…

京都の大金持ちはどんだけケチかという、昔も今も変わらぬ話?

京都には世界に誇る大企業がいくつもあります。名を上げれば島津製作所、オムロン、村田製作所、村田機械、ローム、京セラ、日本電産等々。それらの会社はいったいどんな会社やら、何をつくっている会社なのか、社長は誰なのか、そういうことが京都に住む人…

十年に一度の寒波の中「源氏物語ー須磨の巻」を読んで見た

「十年に一度の寒波」だという。大雪や寒さで断水になるかもと思い、飲み水は確保しておいた。停電に備えロウソクとマッチ、懐中電灯もテーブルの上に出して置いた。冷凍庫の中には凍らせたご飯やお菜もあるし、数日は食べるものにも困らない。…でも停電にな…