断腸亭日乗

永井荷風にもあった切ない青春の一ページと…悲惨な最期

鳴しきる虫の聲あまりに急なれば、 何とて鳴くや 庭のこうろぎ夜もすがら、 雨ふりそへば猶更に あかつきかけて鳴きしきる。 何とて鳴くや こうろぎと問へど答へず、 夜のみならで、 秋ふけゆけば昼も鳴く。 庭のみならで臺どころ、 湯どのすみにも来ては鳴…

「日記文学」の面白さ ー 永井荷風『断腸亭日乗』を中心として

日記の面白さとは日記文学といえば古いものでは『土佐日記』だろうか。作者の紀貫之は女になりすまし土佐日記というブログ(!)を全文ひらかなで書いた。名作と言われる土佐日記を読んでいると、紀貫之はときどき馬脚(男)を露している(それも愛嬌)。い…