幸田露伴を読む

夏の暑さに負けず咲く百日紅

夏から秋にかけて咲く花で好きな花は木芙蓉(ふよう)かな。若い頃は木芙蓉の傍を通っても何とも思わなかったけど、年齢を重ねるとともに気になる木(木芙蓉)になった。可憐な白い花びらに何とも言えない趣があるし、八重もよいけれど一重が愛らしい。今日…

源氏物語に見る病と怨念と(露伴翁座談)

・ 医療の道と源氏物語と 奈良朝以前よりすでに医療の道ようやくに開けたるは言うまでも無く、 薬剤と技術とをもって人の疾病にむかいて対治の法を講じたりしは、そ の跡いと明らかなり。されど医事の文学にあらわれたるは、なお少し。 降りて平安朝に至りて…

海棠の花は朝の露に美しく

若かったころ、初めて露に濡れる海棠(かいどう)を見たとき、その可憐とも妖艶ともいえる蠱惑的な表情に魅惑されたものだ。物語のヒロインに例えるなら Beatrice か Violetta というところだろうか。 海 棠 「…まことに花の美しくあわれなる、これに越えた…