2022-01-01から1年間の記事一覧

京の藪医師-竹斎 遊女-吉野太夫を見初める(好色一代男風に)

姿なきあとまで後世に名を残した吉野太夫、前代未聞の遊女と伝わる。容姿、性格のどれ一つとっても文句のつけようがなく、情の深さと言ったなら海よりも深し?「都をば花なき里になしにけり吉野は死出の山にうつして」と灰屋紹益が詠んでいるのはその太夫の…

「美味しんぼ」と金平糖と西鶴と寺田寅彦と

だいぶ以前のことだけど、京都の老舗ジャズ喫茶"ブルーノート"で気持ちよくタンノイから流れる音楽に酔いしれていると、隣の席に座っている観光客らしい若い女性から金平糖(こんぺいとう)をいただいたことがあった。それは大粒の金平糖で、ポリエチレンの…

藪医師竹斎-伏見稲荷大社で嫁とバッタリ出会ったコワ~イ話(今昔物語風に)

前口上えー近年マスク美人てぇ言葉がはやりましたな。そして古いことわざに「よめ とほめ 笠の内」というものがあります。分りやすい文に直すと「夜目 遠目 笠の内」と書くんですな。今のご時世でいうなら「マスク美人」ということでっしゃろか。今日お話し…

「洛東芭蕉庵」再興の発起人 - 忘れられた俳人 樋口道立を探しに真如堂界わいを歩いてみた

秋晴れの一日、「洛東芭蕉庵」再興の発起人 - 樋口道立の墓が紅葉の名所真如堂付近にあると知り、居ても立っても居られなくなり探し歩いてみた。その顛末を報告してみたい。 真如堂へ至る北参道 「真如堂前」でバスを降り、先ずは紅葉の名所である真如堂(新…

松尾芭蕉と与謝蕪村ゆかりの寺 「洛東芭蕉庵」(金福寺)を訪ねる

比叡山西南の麓「一乗寺村」、今でいう一乗寺才形町に小さな禅寺がある。地元の者はその名を「芭蕉庵」(金福寺)と呼ぶ。コーヒーを売る小家もちかく、名物の丁稚羊羹を売る店も遠きにあらず。 白川の花売女? 寺への途中、むかし白川女だったと思しき花売…

「平家物語」 ー 大原御幸 寂光院で平家一門と安徳天皇の菩提を弔う建礼門院徳子と涙の再会

朝焼けの東山 まだ夜の明けきらない未明のうち、都を立った後白河法皇一行が洛北市原、そして静原の里を越えて江文峠に着いたのは午後も遅い時間だったろう。わたしはと言えば、情けないことに電車とバスを使っても江文峠までニ日かかっている(若い頃なら一…

平家物語「大原御幸」の道をたどってみた2 ― 天武天皇が逆賊に襲われお隠れになった静原は城塞都市のよう?

静原の里 さて後白河法皇一行は、市原から大原寂光院へ向うのにどの道を通っていったのだろうか。『平家物語』ではそのことには何一つ触れていない。思うに上高野まで戻って高野川沿いに若狭道を大原へ歩くとなると倍以上の距離を歩くことになるのでその道は…

平家物語「大原御幸」の道をたどってみた ― 小野小町ゆかりの寺の巻

祇園精舎の鐘の声、 諸行無常の響きあり。 娑羅双樹の花の色、 盛者必衰の理をあらわす。 おごれる人も久しからず、 唯春の夜の夢のごとし。 たけき者も遂にはほろびぬ、 偏(ひとえ)に風の前の塵に同じ… 「大原御幸」出立の朝 ー 写真左端が大原別所あたり…

「美味しんぼ」海原雄山のモデル 北大路魯山人を追う

かつて『美味しんぼ』という漫画があった(今でも続いているのかも)。大人向けの週刊漫画誌に連載されていた。わたしは第一回目からの読者であったが、主人公の山岡が同僚の女性と結婚したころから読まなくなってしまった。 西賀茂小谷墓地入口付近 その漫…

桐壺源氏って何のこと? 源氏物語の現代語訳 おすすめは?

はじめにドン・キホーテという名は子どもでも知っていることと思う。スペインの少しばかり古い小説に『ドン・キホーテ』という大人向け(!)の本がある。外国語大学の先生の話では、スペイン文学を学ぶ生徒でも最後まで読み通す者は滅多にいないそうである…