イタリア文学

説教家になりそこねたカサノヴァとヴェネチアでの恋の教訓

はじめに世間では、カサノヴァはペテン師で女狂いと見られているようだ。確かにそうに違いないけれど、ただそれだけに終わってはいないところが、カサノヴァの面白いところなのだ。十八世紀ヨーロッパの一時期を席巻した「ロココ時代」に、ヴェネチア的享楽…

『カサノヴァ回想録』に見る女性遍歴と少年期のペテン師の片鱗

はじめにいったいカサノヴァとはどんな人間だったのだろう。そしてまた彼の『回想録』とは何だったのだろうか。『回想録』に書かれていることは、多少は美化して書いていることもあるだろう、と考えるのだけれど、後世のカサノヴァ研究者によると、そのほと…

カサノヴァの下宿生活とベッチーナ(初恋の娘)が天然痘にかかる話

はじめに今回は『カサノヴァ回想録』からの引用が多くなってしまった。わたしの拙い解説より、カサノヴァ本人の文章のほうがずっと面白いからそれは致し方ないこと。是非ともこの本を図書館か古書店で手に入れて読んでいただきたい(古書店では数千円で購入…

『カサノヴァ回想録』に彼の幼年時代と欧州の医療を見る

sasurai1.hatenablog.com カサノヴァって誰?「自己紹介」です^^ “ わたしには、自分の心に深く根をはっている、神の方針の当然の果実ともいえる素晴らしい教えの土台があったけれども、わたしは生涯、自分の官能の犠牲者だった。わたしは好んで道に迷い、た…

『カサノヴァ回想録』は『源氏物語』と似て非なるもの?

いつだったか、仕事帰りに堀川通を歩いていると西洋の若い女性に声をかけられた。たぶん英語で話しかけられたと思うのだが、なにを言っているのやらさっぱり分からなかった。すると女性は一枚のチラシを差し出し、ある位置を指さした。それには地図が印刷さ…