2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

夏の暑さに負けず咲く百日紅

夏から秋にかけて咲く花で好きな花は木芙蓉(ふよう)かな。若い頃は木芙蓉の傍を通っても何とも思わなかったけど、年齢を重ねるとともに気になる木(木芙蓉)になった。可憐な白い花びらに何とも言えない趣があるし、八重もよいけれど一重が愛らしい。今日…

あらたまの(去りゆく男を追いかけて) ― 伊勢物語

昔、ある一人の男が都を離れた辺鄙な田舎に住んでいた。その男は宮廷に出仕をするためにと言って、女に分かれを惜しんで出て行ってしまったまま、三年間も全然訪れて来なかったので、女は待ちあぐねてつらく思っていたので、たいそう心こまやかに熱心に求婚…

天雲は はるか遠くに(別れたあとの未練…) ― 伊勢物語

昔、ある男がいた。宮仕えしていた后のところで古参の女房と知り合って情けを交わしていたが、その女とはまもなく別れてしまった。同じ出仕先なので、女の目には男の姿が見えるけれども、男の方は女がそこにいるかとも思っていない風だった。そこで女は次の…

武蔵野は…遠くなりにけり ― 伊勢物語

武蔵野の面影(平林寺境内) 芥川龍之介の小説に『藪の中』というものがある。黒沢映画『羅生門』の原作といえるもので、原作を読んでない方でも三船敏郎主演の映画(モノクローム)は見ていることと思う。で、その映画は武蔵野の雰囲気のある場所で撮影され…

白玉か( 深窓の娘を盗み出す話) ― 伊勢物語

昔、ある一人の男がいた。とても自分の愛人にすることはできそうにもなかった女を、何年も求婚しつづけていたが、やっとのことで盗み出して、たいそう暗い時分に逃げてやって来た。 芥川という河辺をつれて行ったところ、女は草の葉の上にたまっていた露をみ…