"すべての面ですぐれていても、恋の情緒を解さないような男は
ひどく物足りないものだ。…
露や霜に濡れて、女を求めてあてもなくさまよい歩き、親の意
見や世間の非難を気にするので心の落ち着く時もなく、あれこ
れと思い乱れ、そのくせ独り寝をすることが多く、熟睡する夜
もない、というようなのが男としておもしろい。
恋に夢中になってはいても、ひたすら溺れこんでいるというふう
ではなくて、女に一目置かれているというのが、好ましい生き方
であろう。"
…『徒然草』第三段
兼好は若いころの自分の姿を思い出しているのだろうか?