河上肇と櫛田民蔵と法然院と

京都大学の学生たちと芥川賞作家の話をするだいぶ以前のことだけれど、京大生数人と百万遍のとある居酒屋で一杯やったことがある。現役の京大生が芥川賞を受賞したころだ。カメラの話などをして小説のことや随筆の話などにいたった。そして京大の先生だった…

秋薔薇を見つめる

秋に咲く薔薇の花は どこか年齢を経た人間の顔を見ているようで 見ていて飽きない。芳香は ほのかに漂い、これ見よがしにきつい匂いを発しないところが良いのかもしれない。 枯れたようでいて枯れていない。 女優にたとえれば 今朝のTVに出ていた 加賀まりこ…

つひにゆく ー 在原業平 最期のひとり言?

昔、ある男が病気になって、気分がわるく死んでしまいそうに感じたので(こうよんだ)、死というものは人間 最後には行く道であるとは前々からきいていたが、それはずっと先のことで、きのう今日というさしせまったこととは思わなかったのに、気づいた時はも…

かつて小野郷と呼ばれた洛北 上高野の神社をめぐる ー 小野妹子と出雲氏の関係をさぐる

崇道神社一ノ鳥居 京都市の北部、高野というところに小野妹子や小野一族を祀った神社があると聞いていたので一度は訪ねてみたいと機会をうかがっていた。小野妹子は遣隋使として初めて隋に渡った人と知っていたし、子孫には小野篁や小野小町がいるので なん…

秋の夜は (別れても…)

昔ある男がいた。どのような事情があったのであろうか、その男が女の所に逢いに行かなくなってしまった。女には後にまた別の男ができていたけれども、前の男とは子供がいる間がらだったので、とくに愛情深く親密だということではないけれども時々たよりをし…

洛北二ノ瀬と「伊勢物語」を結びつけるって無茶ぶり?

小野小町が晩年を過ごしたと伝わる市原の里を後にして、次に向った先は貴船の少し手前にある二ノ瀬の里である。ここは“悲運の親王”として名高い(?)文徳天皇第一皇子の惟喬親王を祀っている神社のあるところなのだ。いつもなら叡山電鉄に乗り、二ノ瀬駅で…

小野小町の最期の地 補陀洛寺を訪ねてみた

京都駅から北へ十キロ余り行くと貴船や鞍馬のちょっと手前に“市原野”という集落がある。かつては山間の農村地帯であったが、いつの間にか山は削られ、田んぼや畑は工場や住宅地と化してしまった。平安の昔にはこの地は鳥辺野や化野、紫野などと同様に 人の亡…

秋雨に濡れそほつ花

芙蓉と百日紅は夏の花とばかり思いこんでいた。夏の強い日差しに似合うと決めこんでいた。しかし どうしてどうして、秋の雨に悩める芙蓉は、春の海棠にも劣らず「まことに花の美しくあはれなる、これに越えたるはあらじ」と思う。 萩には崩れた築地が似合う …

神戸の異人館街を散策し そして思ったこと

ちょっとばかり前のことだけど、「宣言」が解除された翌日に神戸市内を散策してきた。観光という目的もあったけれど、いまや記憶の片隅から消え去ろうとしている、あの大震災を経験して、その後街はどのように復興されたか、という名目をこじつけて…。 新神…

夏の名残り

さいた さいた と喧しくいうから何の花が咲いたのかと思えば、花ではなくて、本日も過去最多の新型コロナ感染者数だという。京都府では「自宅療養者」が昨日で3.000人余りだとか。東京都は京都の十倍の感染者数だから自宅療養者はその○○倍? あな怖ろしや。…

100歳のばあば が新型コロナに感染 ! ?

青天のへきれきと言うべきか、都内に住む御年百歳になる妻の母親が新型コロナに感染したようだ、と連絡が入った。十年前の大腿骨骨折では、 もしや寝たきり状態になるかと思わせたが、持ち前の不屈の精神とリハビリにより一人で歩けるまで回復した。今度ばか…

雨後の雲

黒部川源流域 雨後の雲の美しさは山にてこそ見るべけれ。低き山に居たらんにはなお甲斐なかるべし。名ある山々をも眼の前脚の下に見るほどの山にありて、夏の日の夕など、風少しある時、渓に望みて遠近(おちこち)の雲の往来(ゆきき)を観る、いと興あり。…

夏の暑さに負けず咲く百日紅

夏から秋にかけて咲く花で好きな花は木芙蓉(ふよう)かな。若い頃は木芙蓉の傍を通っても何とも思わなかったけど、年齢を重ねるとともに気になる木(木芙蓉)になった。可憐な白い花びらに何とも言えない趣があるし、八重もよいけれど一重が愛らしい。今日…

あらたまの(去りゆく男を追いかけて) ― 伊勢物語

昔、ある一人の男が都を離れた辺鄙な田舎に住んでいた。その男は宮廷に出仕をするためにと言って、女に分かれを惜しんで出て行ってしまったまま、三年間も全然訪れて来なかったので、女は待ちあぐねてつらく思っていたので、たいそう心こまやかに熱心に求婚…

天雲は はるか遠くに(別れたあとの未練…) ― 伊勢物語

昔、ある男がいた。宮仕えしていた后のところで古参の女房と知り合って情けを交わしていたが、その女とはまもなく別れてしまった。同じ出仕先なので、女の目には男の姿が見えるけれども、男の方は女がそこにいるかとも思っていない風だった。そこで女は次の…

武蔵野は…遠くなりにけり ― 伊勢物語

武蔵野の面影(平林寺境内) 芥川龍之介の小説に『藪の中』というものがある。黒沢映画『羅生門』の原作といえるもので、原作を読んでない方でも三船敏郎主演の映画(モノクローム)は見ていることと思う。で、その映画は武蔵野の雰囲気のある場所で撮影され…

白玉か( 深窓の娘を盗み出す話) ― 伊勢物語

昔、ある一人の男がいた。とても自分の愛人にすることはできそうにもなかった女を、何年も求婚しつづけていたが、やっとのことで盗み出して、たいそう暗い時分に逃げてやって来た。 芥川という河辺をつれて行ったところ、女は草の葉の上にたまっていた露をみ…

京都大原に「悲運の惟喬親王」の墓と棚田を訪ねる

渚の院(文徳天皇の離宮)にて桜を見てよめる 世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし 惟喬(これたか)親王と紀貫之、そして在原業平とはどのような関係にあるのか詳しくは知らないけれど、惟喬親王の母の姓は「紀」であったと覚える。それが…

奇跡の星の植物館でエイリアンに遭遇?

「宣言」の終了につき、たまには息抜きに遠出をしようと企てた。かの前澤氏を出し抜いて宇宙船で隣の星「アワジ星」(ツッコミは無しね)まで行って来たのでその報告を! スペースシャトルから眺めるアワジ星は たいそうきれいだった! ようこそ奇跡の星へ ^…

♪ 葉 葉 葉 ビューティフル・サンデー

きれいな葉を見るとついこの歌を口ずさむ♪ハァハァハァ ビューテフル・サンデ-^^; すべての画像はクリックすると大きくなります。 温室内 青い芝生に雲が映える 日曜日の朝 sasurai1.hatenablog.com sasurai1.hatenablog.com

色いろあります南国の花(京都府立植物園・観覧温室)

今のご時世、年寄りの出かける所といえばお寺か神社(登山する人もいるけど)。信仰心の篤くない私には、神からも佛からもご利益を受ける縁が薄そうである。で、向った先は植物園。平日ともなれば人も少なく周りはジジババばかり(自分のことは…)。花菖蒲も…

奇想天外とは(フォラペディア)

奇想天外はキソウテンガイ科唯一の種である。ナミビアのナミブ砂漠だけに自生している。一対のみの葉を伸ばし続ける特異な形態を持つ。寿命は一千年とも、あるいは二千年とも? これがホントの「奇想天外」 ウェルウイッチアとも云う 寿命がとんでも長いのは…

夏空に平安神宮で花菖蒲を見てきました。

前回の投稿からだいぶ日が経ってしまった。散歩をかねて写真撮影はつづけていたのだけれど、写真のレタッチと文章を書くことがどうにも気が重かったのだ。でも一昨日 平安神宮の花菖蒲が見ごろを迎えていると聞いていたので、午前中に掃除洗濯をすませ、午後…

平安神宮(神苑)にカキツバタを観る

平安神宮を訪ねるのは二十年振りのことだろうか。その頃はまだまだフィルムの時代だった。キヤノンNEW F1にリバーサルフィルムを詰めていたっけ。レンズは28-85mm(1:4)のズーム(結構よく写ったけど広角側で歪曲収差が目立った)で、オートワインダー…

桜咲く季節に今熊野観音寺と中宮定子眠る鳥戸野陵を訪ねてみた

春の陽気に誘われて久しぶりに京都東山今熊野あたりを散策してみた。この辺りには皇室の菩提所である御寺泉涌寺や西国三十三ヶ所観音霊場の第十五番札所・今熊野観音寺などがある。 鳥居橋 泉涌寺参道を左に折れると朱塗りの鳥居橋が見える。橋を渡ると今熊…

それでも花は咲く

アセビの花言葉は「犠牲」「献身」だという。 まさに花のかたちは「鎮魂の鐘」 ハクモクレン

ウグイスは なぜ梅の枝に止まる?

数日前から隣家の庭に鶯がやってきて鳴いている。たいてい朝のうちである。今朝はきれいな声でようやく “ケキョッ” から “ホーホケキョッ” と鳴くことができるようになった。いつの頃からか梅の枝(花)には鶯、というイメージが付いて回るようになった。け…

不思議なマイクロレンズで明治天皇生誕地の梅を撮る

ここに一本のレンズがある。一般にはマクロレンズというものであるが、ニコンではマイクロレンズと称している。生まれは40年以上前のもので、その頃に河原町三条にあった上田カメラで購入(中古で)したものだ。ショーウインドを眺めていたらこのレンズと目…

冬の晴れ間に ― 近況などを…

京都御所建礼門 ここ数日、寒波に見舞われている日本列島ですが、わたしの住む地方では風花が舞うくらいの雪しか降りませんでした。寒々とした冬空と春のような陽気が、繰り返す波のようです。 京都御所を正面に望む ただいま竹斎は巣ごもり中です。コロナ禍…

説教家になりそこねたカサノヴァとヴェネチアでの恋の教訓

はじめに世間では、カサノヴァはペテン師で女狂いと見られているようだ。確かにそうに違いないけれど、ただそれだけに終わってはいないところが、カサノヴァの面白いところなのだ。十八世紀ヨーロッパの一時期を席巻した「ロココ時代」に、ヴェネチア的享楽…